2012-03-04

帯筋、あばら筋のはたらき

引き続き、講習会の復習がてら、ブログアップ。
法令集見ると、帯筋については、さらっとしか書いてないですね、改めて。
以下、問題文は、合格物語から引用です。

16251 鉄筋コンクリートの柱の帯筋は,せん断補強のほかに,帯筋で囲んだコンクリートの拘束と主筋の座屈防止に有効である.
答え ◎
せん断補強筋のことを、柱だったら帯筋、梁だったらあばら筋というので、まぁどちらもやってることは一緒なんですが。



主な働きとしては、せん断補強、内部のコンクリートの拘束、主筋の座屈防止。
密に入れると靭性が増す、耐震効果アップ!⇒◎、とかいう問題も多いですよね。

22111 鉄筋コンクリート構造の柱の帯筋の拘束度合いが大きい場合,一般に,柱部材の軸方向の圧縮耐力は大きくなり,最大耐力以降の耐力低下の度合いは緩やかになる
答え ◎

解説 帯筋の拘束度合いが大きい場合は,主筋の内側のコアコンクリートを帯筋で拘束することにより,柱の圧縮耐力は大きくなり,曲げやせん断による圧縮破壊を制御できる.また,最大耐力以降の耐力低下の度合いも緩やかになる.鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(この問題は,収録過去問題に類似しない新出問題です.)

これもふぅん?
新問なんだ?てな具合。



実は昨日、ゴマさんから、こんな説明があって・・・
あばら筋は、せん断ひび割れを抑制するものではなく、ひび割れの拡がりを防ぐ
ん?
なんのこと?

というわけで。
よくよーーーくハナシを聞いてみると。


1 地震が来て、梁がせん断破壊しました。(おお、一番嫌われるせん断破壊ですか・・・)

2 で、コンクリートに斜めにせん断ひび割れができちゃいました。


という、コンクリートにひび割れが入っちゃった、その後の挙動が問題だったんですね。
ここから、せん断補強筋っである、帯筋なりあばら筋の活躍


3 コンクリートに斜めにひびが入った後、さらなるせん断力に対して、主筋とあばら筋で抵抗しますよー


まず、斜めにヒビが入るってことは、コンクリートの破断を意味すると。
(引っ張りに関して)コンクリートは鉄筋に比べてよわよわですからね。
先に壊れちゃう。

そこから先のせん断力に抵抗するのは、ジャーン!
むき出しになった鉄筋デース!
というわけだそうで。


割れが大きくならないように、鉄筋がコンクリートの割れ目の中でがんばってるわけですね。
けなげに。笑

もし中にせん断補強筋がなかったら、そのままぱっくり。
コンクリートの割れ目が大きくなる=被害甚大、と。

なるほどなるほどー




それでもって、先の22111のハナシに戻りまして。
鉄筋コンクリート構造の柱の帯筋の拘束度合いが大きい場合,一般に,柱部材の軸方向の圧縮耐力は大きくなり,最大耐力以降の耐力低下の度合いは緩やかになる.
最大耐力以降、って結局許容応力度を超えた後の話。
崩壊=全塑性に向かっている時と思われますが。

その際の最後の抵抗力は、せん断補強筋の塑性変形能力によるってことですな。
もし単なるコンクリートだけだと、せん断破壊しちゃったらそれで崩壊・・・
となるわけですが、鉄筋があるおかげで、そうならない。

なるほどねーーー


帯筋を密に入れると靭性が増すっていう意味がよくわかってなかったんですが、そうゆうことだったと。


十字にバッテンとか、もろもろにせん断破壊した柱の写真とかよく見ますけど、中の鉄筋も破断してるのも見ますよね。
あのような壊れ方をしてるのは、コンクリート破断後→中の鉄筋も破断、っていう、そうゆう流れですね。




ちなみに、せん断補強筋を密に入れ過ぎも注意!
ピッチが決まっているのは、コンクリートが全体にまわりにくいからですが。

強度を上げたくて、ピッチ優先=本数増やせない場合は、鉄筋の強度を上げるか、径を太くすると。
この辺りが、構造設計者の手腕でしょうか。



うーーーん。
うまくできたものだ!
これ考えた人もすごいですよねぇ・・・





ちなみに。
極論を言うと、鉄筋は引っ張りが働くところに入れときゃいい。
他は入れなくてもいい。
by ゴマさん
だそうで。

だけど、帯筋を入れたり、主筋を全長に渡って入れたりするのは、コンクリートの拘束とか、主筋のはらみ防止とか、そんな作用もあるから、とのことでしたー


いちいち、勉強になります!

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