2013-03-24

「都市計画区域の方針」のハナシ

ハナシ途中で、合格物語の最前線ニュースで紹介を頂いてしまい・・・
プ、プレッシャー。

どう考えたって読みづらいなぁと思いつつ、書いている次第でありまして。
まぁ、そうは言いつつ、書き進めるわけでありますが。


さて。
都市計画法第二条の定義のところに、「都市計画」とは、次章(=第二章)の規定に従って定められたものという風に書いてあるので、まずは第二章のタイトルを。
第二章 都市計画
 第一節 都市計画の内容(第6条の2~第14条)
 第二節 都市計画の決定及び変更(第15条~第28条)
まぁ、そのまんまな章立てですけど。


たとえば、北海道、東京都、沖縄県、と単純に比べたって、それぞれ自然条件、風土や風習、その地域の慣習があって、全国一律に都市のルールを決めてしまうと弊害が出ますよね。

台風がたくさん来るエリアと、道路に除雪用のレーンを用意しなきゃいけないエリアとでは、当然都市計画も変わってくるはず。


なので、この「第二章 都市計画の内容」では、以下の二つについて指針が。
  • 全国一律で決めるべきこと
  • 「都市計画決定者(=都市計画法第15条)」が取捨選択して決めてよいこと
こんな感じで、その地域の特質や経済状況に合わせて、いろんな計画を取捨選択できるような内容とが書かれています。

まずは、「第一節 都市計画の内容」。

この箇所、結構出題が多いですが、~~区域とか~~事業とか、似たようなものが大量に出てくるので、混乱します。はい。
整理して覚えませう。



ところで。
この第二章、書き始めに同じような文章がずっと並びますよねー(棒)
「都市計画区域については、都市計画に、次に揚げる○○○を定めるものとする。」
「都市計画区域については、都市計画に、次に揚げる○○○を定めることができる。」
「都市計画区域については、都市計画に、次に揚げる○○○を定めるよう努めるものとする。」
どうです?
まんまですね。


「定めるものとする。」は、全国一律です。

一方、「定めることができる」「定めるよう努めるものとする」ってことは、「定めなくてもいい」もしくは「努力義務」ですね。はい。

これらの取捨選択は、地域の特性にかんがみて、というところでしょうか。
最初の一文の「前提」を間違わないようにしつつ、条文読んでくださいませ。



ということで(前提長い・・・)。
ようやく第六条の二。
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
第六条の二  都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針定めるものとする

 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針には、第一号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第二号及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする
一  次条第一項に規定する区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針
二  都市計画の目標
三  第一号に掲げるもののほか、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

ここで、都市計画について、全体的に方針を定めよと言ってます。
これがいわゆる、都市計画マスタープラン。国土交通省の解説ページはこちら

一号は全国一律で必須。

二号、三号は努力目標。
(諸事情で無理そうだったら定めなくてもよい。)



ていうか、今お住まいの街の都市計画マスタープラン(※)って、読んだことありますか?
【※註:正式には都市計画区域マスタープラン(第六条の二)、市町村マスタープラン(第十八条の二)、です。】

「○○市 or △△町 都市計画マスタープラン」と検索すると、住んでる街のマスタープランがヒットするはずです。

検索してヒットした順に。
・都市計画区域マスタープラン例 大阪府 長野県 東京都

・市町村マスタープラン例 札幌市 神戸市 渋谷区

○○県 or △△市は、こんな街にしましょう~的なPDFです。

読んで字のごとく、都市計画区域マスタープランより、市町村マスタープランの方が、もちょっと地域に即した内容です。

陸前高田市は、被災後の復興の話なので、「復興計画」と称されてサイトで紹介されています。これも「マスタープラン」のうちのひとつ。
拝見しましたが、津波被害にいかに対応していくか、どうやって共存するか、というのが、強く打ち出された内容です。



これらのマスタープランと呼ばれるものは、ある意味、都市の戦略とも言いましょうか。

今後10年~20年の期間で、人口が増えそうなところ、産業が発展しそうなところは集中的に整備しましょう、またその逆に、農地もまだまだ残っているところは、農住のバランスをとりましょう、という感じ。

すでに市街化してるエリアももちろん含みますし、再開発した方がよい区域なども。

地域の風土や歴史条件によって、いろいろですけどね。

自分の住んでるエリアのマスタープランがどうなっているのか、っていうのを見てみると、またイメージがつきやすいかも。




で。
マスタープランには、都市計画の目標の他に、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業が書かれるということなので、もちょっと詳しく。

土地利用は、そのまんまですが、どのように市街地を活性化させ、それ以外を抑制していくか。
場合によっては、街の中にある比較的大きな公園や水辺などの自然環境の保全方針や、防災・災害に強い都市づくり方針なども触れられます。


ちなみに、
都市施設は、長いので引用しませんが、都市計画法第11条


この震災で、津波防災拠点市街地形成施設、というのも追加されたようですね。

私の中では、「都市施設」というと、インフラなイメージが大きいのですが・・・
学校や図書館などの教育文化施設、医療・社会福祉、官公庁施設などのいわゆる公共色の強い施設も含まれる、というのも特徴でしょうか。
(お!図書館・・・こんなところに。)

都市計画法第四条(定義)の第一項第5号、第6号も、ついでに参照しときましょう。
この二つの違いがわからないと、後々問題解くときに混乱します。


それから、市街地開発事業については、都市計画法第12条

建築系の方には、あまりなじみのない法律名が並びますが・・・汗



この都市計画マスタープランは、おおよその都市の税収とかもにらんで制定されます。

(あまり、この辺りは、建築的に触れられることはありませんが)
たとえば、低層の住宅ばかりの住宅地では、必然的に税収が低い。しかし、その分住環境は充実する。
一方、建物が中層、高層となるにつれて、低層よりは、各階の「床」部分から税金がとれますね?


広大な敷地に工場を誘致したら、そこからやはり税収が見込める。

ハタケのド真ん中に、全国展開する大規模な店舗を誘致するのもそうです。
(中心市街地の衰退と裏腹ではありますので、いろいろ対策が組まれていますが・・・)

いずれにしても、地域全体の収益から税金を頂いて、さらにその一部である都市計画税などで道路を広げたり、上下水道を整備しなおしたり。
街に還元される。



そうゆう目的もあって、都市計画上収益を鑑みて、マスタープランが変更されたりします。
(もちろん全部が全部そうではないです。)

たとえば、ちょっと目的は違うのですが、例としてわかりやすいのが銀座の容積率変更

日本で有数の商業地域ですけれども。

銀座4丁目交差点の和光(旧服部時計店)や松屋が、旧容積率時代の名残でしょうか。
旧銀座ルールは約8階建てで、ある一定の高さを守ってましたからね。

資料調べると、そのエリア一帯の建物には、老朽化の現実があるけど、旧都市計画の制限に従って建て直そうとすると、とても資金が足りないと。



1999年に、都市計画上の制限についていろいろ緩和があって、それから今に至るまで、銀座一帯のたくさんの建物が建替えられてます。銀座7丁目の資生堂が発端でしたね。

ということで、ほとんどの建物が緩和された容積分を増床して、その「床」を貸して得られる収益分を担保に、建替え資金にしてると思われます。

巨額のお金がやりとりされたことでしょう。
その税金の一部は中央区に落ちて、古くなった道路の舗装や下水道のやりかえとか、並木通りのプラタナスの保全費とかに回っている(ハズ)。



六本木ヒルズや、ミッドタウンなどの大きな開発も、東京駅周辺の開発も同じような考えです。

超高層を建てて、その間を外資ホテルに貸したり。
もともと住んでた人もいたので、レジデンス(住居棟)もありますしね。

六本木ヒルズは、単独で地域冷暖房の仕組みを持っているので、311の震災以降売電したりしてます。

建替えて土地(建物内の「床」も含む)の価値が上がる。
その分の収益の一部で、建物の建設費だけでなく、周辺の道路や上下水道、公園などのインフラを更新する。

丸の内仲通りの、歩道舗装の気合いの入り方、すごいですよ。
お金があるところの舗装は、ゴージャスですね。(関係ない)

全体的なマスタープランで、このエリアは道路を整備する、このエリアは市街地開発の事業をやる、とか、具体的にエリアの整備方針を決めてから、です。



また、逆に、都市のダウンサイジングのようなことも起きています。

人口が減って高齢化が進んできた地域に関して、市街化調整区域に移行していくことで、そのエリアの無作為な増殖を止め、維持・保全に方向転換するとか。



都市計画マスタープランは、おおむね10年くらいを目処にしたり、時代の興隆やなにかと一緒に、見直されたりすることが多いです。

ということで、試験とはかけ離れましたが、まとめ。

都市計画マスタープランは、人口、産業の盛衰をかんがみて、地域に即して決定されるもの。
市街化区域と市街化調整区域の線引きや、まちづくりの目標、都市施設、市街地開発事業の設定などがなされます。

まずは、自分が住んでいるところは都市計画的にどんな地域か、ということを調べると、少しは都市計画税をとられる意義もわかるかなと。汗

つづきます。

2 件のコメント:

  1. つづけるにっき 見続けてます。
    脱線記事()大好きです。
    でも私はカエル式ですから・・・
    いろんな知識がいっぺんに押し寄せる
    感じでとても記事が頭に浸み込みます。
    つづけるカエル??式
    週末法規講習です、桜満開なのに。
    頭(@_@;)してきます。
    では又、

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    1. kayaさん、お疲れさまです~

      桜は毎年咲きますから。
      一年くらい見なくても死なないですよ。ナンチャッテ笑

      週末の講習会、がんばってきてください!

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