2013-03-15

建築制限?-その1

都市計画法を逐条解説してもあまり意味がないと思うので、まぁぼちぼち全体的な仕組みとか、基準法との絡みとか、その辺が書けたらいいなと思いつつ。

行き当たりばったりで書いてるので、どうなることやら。笑



先日、陸前高田市が都市計画決定に向けてうごいている、というブログを書きましたが。

さてはて、陸前高田市は、なぜあわてふためいて都市計画決定を急いでいるのか。
(そりゃ早いに越したことはないけども・・・)

都市計画法に行く前に、もうしばらく被災市街地復興特別措置法にお付き合いくださいませ。
なお、下記に大量に条文を引用します。
一級建築士の試験的に、ここはあまり重要でないので、条文自体は流し読みOK。


陸前高田市は、2011年3月11日の震災後、この被災市街地復興特別措置法第五条で、被災市街地復興推進地域を制定していると思われます。
「被災市街地復興特別措置法」
被災市街地復興推進地域に関する都市計画
第五条 都市計画法第五条 の規定により指定された都市計画区域内における市街地の土地の区域で次に掲げる要件に該当するものについては、都市計画に被災市街地復興推進地域を定めることができる。
早速余談ですが。
私もこの条文を読んで知りましたが、都市計画法第五条で指定された都市計画区域内で定めることができるんですね。逆を言うと、もともと都市計画区域外だったところでは指定できない・・・
なるほど。

ちなみに、都市計画法にも、こんな文面。
もちろん流し読みOK。
あー都計法にこんなこと書いてあるんだなー程度。
「都市計画法」
被災市街地復興推進地域
第十条の四 都市計画区域については、都市計画に、被災市街地復興特別措置法 (平成七年法律第十四号)第五条第一項 の規定による被災市街地復興推進地域を定めることができる。



さて。
なんとなく、都市計画法と、被災市街地復興特別措置法で、都市計画についてなんかやってるらしい、ということまでは把握できたでしょうか。

では、被災市街地区域復興推進地域を制定して、誰が何するのか?
「被災市街地復興特別措置法」
市町村の責務等
第六条 市町村は、被災市街地復興推進地域における市街地の緊急かつ健全な復興を図るため、緊急復興方針に従い、できる限り速やかに、都市計画法第十二条の四第一項第一号 に掲げる地区計画その他の都市計画の決定、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業の施行、市街地の緊急かつ健全な復興に関連して必要となる公共の用に供する施設の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
これもだらだらと引用してしまいましたが。

市町村に権限を渡すので、以下の3つを先行して緊急復興方針に従ってやりなさいと。市街地の緊急かつ健全な復興に必要な処置を講じなさいと。
  • 都市計画決定
  • 市街地開発事業の施行
  • 公共の用に供する施設の整備
そんな具合ですね。
ここで、だれがどう具体的に権限があるのか、というのが決まっていて、市町村が復興計画やら、復興に関することを決めてよいことになっています。

なので、陸前高田市(の都市計画部署)としても、この辺りを最初にやりだしたと思います。



では、被災市街地復興推進地域が指定された区域で、具体的にどう復興するかが決まるまでの間、そのエリアはどうなっているのか?
被災市街地復興特別措置法
建築行為等の制限等
第七条  被災市街地復興推進地域内において、第五条第二項の規定により当該被災市街地復興推進地域に関する都市計画に定められた日までに、土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
以上のように、この「被災市街地復興推進地域内」では、指定された行為が制限されています。
  • 土地の形質の変更
  • 建築物の新築、改築若しくは増築
従って、被災しようがしまいが、「陸前高田市長の許可」がないと、その指定された区域には土地を造成したり、建物を建てたりが勝手にはできません、ということが書かれています。



確かに、そこは個人の土地かもしれない。

早く自宅を再建したい。
職場を再建して、早く仕事を始めたい。


かといって、また海岸沿いに家が建ち並んでは、今回の教訓が生きなくなってしまう。

陸前高田市としては、どうやって街全体として復興していくか。地震被害・津波被害、その他の被害から身を守るか。

たとえば、市として堤防を造ろうとしたところに、製氷工場とか、卸市場とか、水産工場が我さきにと建ってしまっては困るのです。公共の福祉の増進に寄与する、という観点から(いろいろ反論はあるにせよ)。

そうゆう意味で、先の七条で建築行為等の制限というものを設定して、一定の建築行為にブレーキをかけてる。



堤防を造るかどうか、だだっぴろい公園にするのか、それとも、防波林を植えるのか。

港はどのように整備するのか、道路はどうゆう風に街を走るのか、上水道、下水道はどうやって通すのか。

それを決めてからでないと、街全体として復興ができないので、協力してくださいと。

もちろん、除外やらいろいろありますので、必ずしも全部の建築行為自体が制限されるものではありませんが、基本的には、全体の緊急復興方針に従った内容以外のことは、ちょっと待って、と。



★まとめー
陸前高田市では、「被災市街地復興特別措置法」によって、都市計画区域内について、都市計画に、建築行為の制限がされる被災市街地復興推進地域を決めていまして。

都市計画法による正式な都市計画が定まるまでは、一部の例外を除いて、建築行為等を制限していました。



さて。
この「被災市街地復興特別措置法」第5条3項によると、建築行為に関する制限がかけられる期限は2年以内。

きっと、陸前高田市では、最長の2年という期限にしておいたと。
で、この期限がくるまでに、市として都市計画法に基づいて都市計画決定をしなければならない、と急いでいると、ケンプラッツの記事。

なぜか?
すなわち、期限を過ぎた場合、無作為に建築が建ってしまう可能性が出てしまう。
せっかく2年間かけて制限してきた努力が無駄に終わってしまうかもしれない。


ということで。
ざっくり見てきたように、市街地の整備計画の立案、決定、建築行為等の制限と許可の辺りが、都市計画法独特の手法となっています。

その2につづく。

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