2020-03-24

法規インデックス頼み、に限界があるワケ(防火区画界隈の話)

先週21日(土)、3時間半くらいですかね?
 @usagi1920 さん主催の#zoom学科 に参加しました。
ブログはこちら → 継続は一級建築士なり

教科書は↓コレ。


1. インデックス頼りの限界

さて。
土曜日やった範囲「耐火義務」「防火区画」は、H30年の改正があったのであれやこれや言いながらでしたが、 @usagi1920 さんから、これまでやったところをざっと復習。

やりとりさせて頂く中で、一番気になったのが↓この問題の解き方。
下記、法規のウラ指導合格物語から、引用します。
12065
事務所の事務室において,窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積の合計が床面積の1/20未満の場合には,事務室を区画する主要構造部を耐火構造とし,または不燃材料で造らなければならない.
ポイントになるかな?と思うところを太字にしてみましたが。

これ、法令集のどこ開くか、わかりますか???
ん?
採光に有効な部分の面積?
区画する主要構造部???


この問題、法規のウラ指導の「防火区画の項」で、イの一番に出てくる問題です。
私自身、zoom学科やった土曜日の時点で、この無窓居室の防火区画の規定の話は記憶から抜け落ちてました
お、こんな条文あったっけか?状態・・・
あれれ・・・汗

なんとなく、このブログ記事的にも防火区画?と来て、令112条辺り?と思う方もいらっしゃるかと思います。


がーーーーー!!!
この問題、防火区画かな?→インデックスの「防火区画(令112条)」で開くでは、正解にたどり着けない内容です。
令112条をいくら探しても載ってない!!!んです。

こういった、防・耐火とか、避難規定によくありがちな「ナントカ無窓」
これらの規定が法令集のどこに載ってるか、まずもってインデックス頼みだと全然見つからないハズ、です。



2. やりがち?無窓居室の防火区画の対策

昨日の #zoom学科 で、話の流れから提案されていたのが、この問題に対して↓のような対策でした。
今年はやってないけど、去年は令112条のところに「⇒令111条」と書いてました。
あ、
これは・・・(^ ^;;;;
と思って話を途中で遮ってしまいましたが・・・
とりあえずインデックス「防火区画」目指して
令112条を開く
 ↓
「⇒令111条」の書き込みから、令111条を開く
 ↓
解答する
法規の問題は、こうゆう「インデックス頼みの解き方」をしていては、1対1の単発的な問題にしか対応できないです。
周辺知識がなくて、応用がきかない、ってやつ。
なんなら、一番避けたい試験時間内に法令集難民になって終わるパターン


だって・・・
片っ端から、逐一書いとかないといけないじゃないですか?

万が一ですが、試験当日に「その書き込みは消しなさい」って言われたら???
しかも、改正があったり、法令集買い替えたら、また書き込み必要ですよね・・・涙
たまたま防火区画の話ですが、法令集全体に書き込み、やります???
それとも、インデックス追加しますかね?
インデックスだらけになって、ワケわからなくなるのが目に見えてますwww
ね?


避けたい・・・
こうゆう、試験当日「焦り」や「パニック」になる対策は、未来に向かって自分の足を引っ張るにせよ、全くナンの役にも立たない。人間、記憶力には限界があるし、応用きかないやり方は、ほんとやるだけムダです。
絶対に避けたい

ですよね???
何度も何度も、賽の河原に石積むみたいな無駄な対策して受験しては、試験当日死亡した経験から、ワタクシ、このやり方は絶対におすすめしません
キッパリ。



3. 条文が存在する背景を理解しよう

ウラ指導(と私)が総力をあげてオススメしているのが、「条文の体系的理解」
この時もお話したのは、「法→施行令→施行規則」の流れを意識してほしい、ということ。
今回の事例、無窓居室の防火区画に限って言えば。
法35条の3 → 施行令111条
これだけの話なんですけども。
いやいや、これでは終わらないか。

最初からイキナリ「施行令112条」に飛んでしまうとそもそも載ってないし、そこから「令111条」見たところで、「法35条の3」の方に書いてある条文の前提をすっ飛ばしてしまうんで、意味不明なんですよね。

これ、インデックスも付けてしまってるし、とても、とても、やりがちですが・・・
意識して、最初に「法53条の3」の方を確認してから、「施行令111条」に飛んでほしいのです。


なぜか?
例えば、この無窓居室の防火区画の規定がなぜ存在するのか?を理解した方が、そういった事象に直面したときに、判断が的確になるからです。
試験でも、実務でも。


法律にかかれている規定の背景を想像したり、国交省の資料(建築基準法制度概要集)読んだりして、規定自体の目的がどういったものかを理解しておかないと、上っ面だけで判断しても誰も救えないんです・・・涙

火事の話は人命に直結しますので、建築基準法の中でも相当数の条文が存在してますよね。国交省の資料(建築基準法制度概要集、p16)から引用します。
建築物火災からの人命・財産の保護
 ↓
在館者の避難安全の確保
・火災の拡大防止による通常の避難安全の確保
・在館者が逃げ遅れた際の救助活動の活動
 ↓
火熱、煙の拡大
 ↓
防火区画の設置
これが目的だからです。
ということは、設計・監理、施工する際によくよく注意してよね!
これが人命と建物自体を守る最低限の基準だからね!!!
ということです。
全体を理解するのは、とてもややこしくてめんどくさーい!!!
のではありますが、どうしてこんなに面倒くさいことになってるか?ってことを、気にしながら勉強を進めたいところです。



4. 「条文の体系的理解」の具体的やり方

  • 「条文の体系的理解」
  • 「法→施行令→施行規則」の流れを意識する
これらの言葉自体は、ウラ指導の講習会でもたくさん耳にするし、耳タコと思いますが。
この辺の具体的なやり方、背景も含めてもちょっと詳しく書いてみます。
(無窓の居室等の主要構造部)
法35条の3
政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。・・・略
いわゆる「無窓居室の防火区画」の話。
なんていうか、結局は、この条文の存在を知ってるか知らないか?にはなってしまうのですが・・・

「法35条の3」の方に、「政令で定める窓その他の開口部を有しない居室=無窓居室」にいる人を、どうやって火事から守るか???という内容が書かれてますね。
なるほど。

ここで注意したいのは、特殊建築物である、延べ面積が○○㎡を超える、主要構造部が○○構造である・・・等の条件が一つもついてない、ということ。すなわち、用途・高さや面積規模・主要構造部の耐火性能等のいかんに関わらず、政令規定の無窓居室を区画する主要構造部の耐火性能に関して、別個で講ずべき対策がある、ということです。


ときて、政令で定められた内容を確かめに、ようやく「令111条」へ飛びます。
(窓その他の開口部を有しない居室等)
令111条
法第三十五条の三(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 面積(第二十条の規定により計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の二十分の一以上のもの
二 直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもの
以降 略
書き出しに、参照元の「法35条の3の規定により~」と書いてあるのが、条文の優しさ!?

ともあれ、12065の解答ここに書いてありますね?
  1. 窓面積が小さくて採光できない居室
  2. 直接外気に接して避難上有効な構造で、規定の大きさが確保できない居室
てことは。
「法→令」の流れを通して、条文が言わんとしていることは。
用途・高さや面積規模・主要構造部の耐火性能等のいかんに関わらず、火事の時に暗かったり、(消防と連携して)窓から避難・救助できなかったりすると困るから・・・汗

→そのような窓が設置できない居室は、例え居室内で出火してしまったとしても、ある程度の時間火事に耐えといてほしい・火災の拡大を最小限に留めてといてほしい。
だから、居室を区画する主要構造部を、耐火構造不燃材料で造っておいてー
こんなような感じですかね。

なんとなく、規定の背景がわかったところで、実際の試験対策ですが。
練習のうちは、必ず「法」の方の「法35条の3」を先に開いて条文を読む。
 ↓
政令で定める規定を読みに、「施行令」の方の「令111条」へ飛ぶ。
 ↓
無窓になる・ならない、の規定を読む。

↓↓↓

「法35条の3」→「令111条」のツナガリを覚えたら、「法35条の3」を開いてざっと内容確認して「令111条」へ飛ぶ
こんな感じです。
なお、この「法35条の3」と「令111条」の内容のツナガリを覚えることが大事であって、令111条の内容は無理して覚えなくてもよいです。
だって、令111条ってマイナーな条文なんで、いきなり令111条へ飛べる人って、建築基準法全体の条文を相当読み込んでる方ではないかと思いますし。笑

試験当日は「法35条の3」→「令111条」と、法令集を開いて確認すればいいので。
そんなような区画の規定あったなーと「法→施行令」のツナガリだけ覚えて、試験当日は法令集をササッと開けるように、準備しておけばオッケー。



5. 屋内を防火区画する条文を、単発でなく「界隈」で覚える

さて。
こんな感じで、練習時は「法→令」の流れを意識しながら、毎回、毎回、法令集を開いて確認していけば、だんだんどこを開けばよいかわかってくるかと思います。
慣れてくれば、どこを確認すべきか?直接「施行令」の方を開いた方が速い?という風に、法令集をサクサク確認できるようになりますので。

逆を言えば、「法→令」をチェックすることに慣れるまでは、しつこくしつこく「法」の方から確認していくようにされてください。


ここで、防火区画界隈の規定を整理して、当記事を終わりたいと思います。
この3つ全て、屋内で起きた火事について、在館者の避難安全の確保のために火や煙の拡大防止対策=防火区画として規定されるものです。

  1. 法26条(防火壁等) → 令113条(木造等の建築物の防火壁及び防火床)
  2. 法35条の3(無窓の居室等の主要構造部) → 令111条(窓その他の開口部を有しない居室等)
  3. 法36条(この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準) → 令112条(防火区画)、令114条(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)

法26条も、H30年で改正のあったところですが、屋内の区画の話のクセに、法35条の3のように「法」の方から飛ぶことを意識していないと絶対みつからない条文かと思います。笑
しかも、これまた法35条の3、法36条と離れてる割に、施行令の方では条文番号が交錯しているのがややこしく・・・涙
だからこそ、屋内を区画する話の一つとして、この3つを「防火区画界隈」で覚えてしまえば、なんてことないかと思います。



6. まとめ

  • インデックス頼りで、問題を解く、法規を理解するのは限界がある
  • 例えば、防火区画に関してだったら、まず条文の目的「在館者の避難安全の確保」するための最低限の基準、ということを理解する
  • 必ず、法26条・法35条の3・法36条の内容を先に把握、その上で各施行令へ飛ぶ


いつも通り、長文になってしまいましたが。

法規、高得点への道。
みなに開かれた道だし、試験で単純暗記して忘れて終わり、でなく、実務でも使える知識なので、ぜひがんばって「法→令」の流れで覚えてほしいと思います。

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