2020-03-21

二重否定の話(令112条高層区画)

3月に入って、usagiさん主催の【zoom学科】にちょこちょこ顔だしてます。

たまたまですが法規をやってらっしゃるので、いろいろと横から小うるさく()チャットでアドバイスさせてもらってるんですが。
会話中にテキスト打ち込むのも限界あるなwと思ったので、気になったところをブログにも書き留めておこうかと。

まぁ、いろいろあるんですが、ちょっと壮大な話をしてしまうとアレなので、まずはピンポイントで。
条文の二重否定の言い回しが、どうも苦手、という方がいらしたので。


1. 否定の否定とは・・・

usagiさん主催の【zoom学科】で、令112条防火区画のうち、高層区画の話をしていた時の話。
こんな質問がありました。
特定防火設備以外の法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、』というのが、『特定防火設備で区画すれば緩和になる』となるのが、何度読んでもよくわからない。
なかなかね・・・
二重否定=否定の否定って、日常会話ではまずしないですしね。日常的に二重否定で会話する人たちって、法律の専門家くらいなのではwww


建築基準法の中で、有名な(?)二重否定条文といえばコレ。
法35条の2 特殊建築物等の内装
 ⇒ 令128条の4 内装制限
誰もが、初見だと「はい???どゆこと?適用されるのされないの!?」となる条文ですね。爆
ゆーーーっくり読まないと、適用されるのか、されないのか、混乱するヤツですwww


いずれにしても。
このややこしい二重否定が条文で出てくる場合、当たって砕けろ!!!的な・・・(え?
この独特の言い回しには、ほんとに、がんばって慣れるしかない・・・(えぇ??
・・・のですが。

はい。
これまた「スラスラと読めるようになる」まで、ちょっと時間かかる?かも?涙

いや、一回わかっちゃえば、そう身構えるような話ではないので大丈夫です。
ということで、令112条の高層区画の例をもとに、二重否定についてゆっくり考えてみたいと思います。



2. 高層区画の前提

えーと、平成30年の法改正で、項が一つズレてる、という説明はかっ飛ばしまして。
いきなり令112条の新6項の解説からスタートです。

まず、条文の前提。
高層区画が必要な建物とは、どんな建物なのか?
イメージしっかり、大事です。
「高層区画すべき建築物とは」
建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡を超えるもの
そもそも。
11階以上って、高さがどのくらいかイメージわきますか?
あくまでざっくりですが。
  • 共同住宅の階高 約3m ✕ 11階 = 約33m
  • 事務所の階高 約4m ✕ 11階 = 約44m
高さ31mを11階で割ったら、階高約2.8mですからね・・・
そんな階高の低い建物あるかな?という感覚はほしいところです。
旧建築基準法の百尺規定(高さ31m規定)で建った代表的な建物、東京丸の内周辺のビルでさえ、7~9階建てです。

建物の11階以上=概ね、高さが31mを超える
ということで、階高によりけりですが、高さ31mを超える建物、ですね。
ここで、高さ31mと来たら・・・?
ピンと来ますかね・・・?

  • 法20条1項2号イ→令81条2項1号 構造計算の切り替わりの高さ
  • 法34条 非常用EVが必要になる高さ
他にも、耐火義務規定である単体規定の法27条や集団規定の法61条の適用あるなしによりますが、11階以上って耐火建築物だろうか?準耐火建築物だろうかー?というのは、なんとなくアタマにありつつ、ですね。

11階以上=高さ31mを超える
 =消防のハシゴ車が届かない高さ
火事が起きたときを想像してください。
11階以上の居室にいる人が、階段ぐるぐるぐるぐる回って降りて・・・
逃げるのたいへん・・・ですよね?
消防車が来て、消防隊員ががんばるにせよ。
消火するのもたいへん、救助するのもたいへん・・・汗

⇒ 建築物の11階以上の階といえば、
  居室にいる人が逃げ遅れる可能性ありな建物ですね。
前フリ長くてスンマセンw



3. 高層区画の原則

令112条6項は、こんな規定です。
建築物の11階以上の部分で、
各階の床面積の合計が100㎡を超えるもの
 ↓
火災があった時、ハシゴ車が届かず、消火活動も困難で、建物内にいる人が逃げ遅れる可能性がある。すなわち、屋内にいる人の命が危うい。
 ↓
だから、令112条1項の面積区画(原則1,500㎡区画)に関わらず、さらなる小さい面積=100㎡ごとに区画する必要がある。

↓↓↓

高層区画とは、建築物内の「延焼」を局部的なものに留めるための防火区画
というわけで、6項高層区画の具体的な仕様としては以下。
  • 区画面積:原則100㎡以内ごと
  • 区画する若しくはの耐火性能:耐火構造
  • 区画に設けられる開口部の仕様:法第二条第九号の二ロに規定する防火設備(両面、遮炎性能20分)
令112条1項床面積1,500㎡で区画とか、悠長なこと言ってられませんよ!
建物11階以上はもっと細かく区画して!です。
高層区画は、まずここがスタート。



4. 高層区画の緩和規定

ここで、ようやく二重否定来ますw(前フリ長い・・・汗

7項ですね。
カッコ書きややこいので、省略して書きます。
壁及び天井の室内に面する部分仕上げと下地
準不燃材で造ったもの
 ↓
特定防火設備以外の法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、
 +
6項の規定に関わらず、

↓↓↓

床面積の合計200㎡以内ごと区画すれば足りる。
二重否定、やっと来ましたねw

解体して考えます。
防火区画に必要とされる防火設備には種類がありまして。
  1. 法第二条第九号の二ロに規定する防火設備=両面、遮炎性能20分
  2. 令112条1項に規定する特定防火設備=両面、遮炎性能1時間
1と2の違いは、単純に「遮炎する時間」で、他は一緒です。

そして、何度目かの横道に逸れますが、ここで注意なのは1も2も両方とも「両面」です。片面ではありません。
屋内の、一方の防火区画からもう一方の防火区画に対して、遮炎性能が求められます。

で、この1と2の関係ですが。
大きい囲い1の中に、小さな2の囲いがあるイメージ。
「1」>「2」です。

ということで。
令112条7項の二重否定部分が言わんとしてることとは・・・

ア 上記「2」以外の「1」で区画する場合

⇒「1」>「2」なので、「1」が適用となりますが、その中に「2」は含まれません。濃い青がくり抜かれた薄い水色の部分のみ。

イ 上記「ア」を除く場合

⇒さらに、今度は「1」が除かれるので、アで除かれた「2」が適用になります。単純に濃い水色のみ。


えー
ややこしい。

特定防火設備以外法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、』
とは、
特定防火設備で区画する場合』と読み替えられる。
いや、
フツーに、「特定防火設備で区画する場合」って言ってくれたらいいのにw
どうしてこうなったwww

防火設備には、遮炎性能10分~90分の違いと両面・片面の違いなんかがあるので・・・
改正されて、いろいろ種類が増えててまだ全部は記憶してませんがw

高層区画の場合、内装下地・仕上げが準不燃材料(不燃性能10分)か不燃材料(不燃性能20分)で、区画と区画の間の開口部の遮炎性能が1時間なら、区画する面積を緩和してよいよーということが言いたいだけと思いますが・・・凹


この読み替え、大丈夫でしょうか???
結果として、6項を前提とした7項の仕様の緩和条件はこんな感じ。
  • 及び天井室内に面する部分:仕上げ・下地とも不燃材料(不燃性能10分)
  • 区画する若しくはの耐火性能:耐火構造
  • 区画に設けられる開口部の仕様:特定防火設備(両面、遮炎性能一時間)
  • 区画面積:100㎡以内ごと ⇒ 200㎡以内ごとでいいよー

同様に、8項。
  • 及び天井室内に面する部分:仕上げ・下地とも不燃材料(不燃性能20分)
  • 区画する若しくはの耐火性能:耐火構造
  • 区画に設けられる開口部の仕様:特定防火設備(両面、遮炎性能一時間)
  • 区画面積:100㎡以内ごと ⇒ 500㎡以内ごとでいいよー



5. 二重否定の読み方 まとめ

この、法律文独特の言い回し、嫌になりますね。
ニホンゴ!?!?

ヨシ、条文読んでみよう!と思われた方。
二重否定で心折れる人が続出するのではと思いますが。。。泣


慣れましょう・・・


要するに。
  • 建築物の11階以上の部分
  • 各階の床面積100㎡超える
  • 内装の下地・仕上げが準不燃材料不燃材料
  • 区画する若しくはの耐火性能が耐火構造
  • 区画に設けられる開口部の仕様が特定防火設備
この条件がそろうと、原則100㎡でよい区画が、緩和されますよっと。
法第二条第九号の二ロに規定する防火設備より、遮炎性能が高い特定防火設備で開口部を造ってくださいねー!
高層区画は、こんな話になってます。

そして、令112条1項本文のカッコ書きにより、スプリンクラー設備他自動式のものを設置した場合は、各項規定の区画面積が2倍までオッケー!です。
そして、そして、9項の除外規定は、あとで自分で読んでおいてー!!!爆

0 件のコメント:

コメントを投稿