2020-03-30

「オストメイト」にまつわるエトセトラ その3

その1その2、と、オストメイトに関して、いろいろと書いてきましたが。

「オストメイト=人工肛門をつけた人」用の設備を有する便房とは?
一級建築士の試験では、どんななってるか?を、もう少し。



1. バリフリ設計標準改正後、学科で「オストメイト」がさっそく出題w

H28年改正→H29年出題の内容です。
問題文からどうぞ(試験元合格物語から引用して作成してます)
[No.9] 便所・洗面所に関する次の記述のうち、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。
  1. 29091 オストメイト用設備を有する便房の汚物流しに設ける水栓は、湯温調整付きレバーハンドル型混合水栓とした。
  2. 29092 オストメイト用設備を有する便房には、ストーマ装具や関連の小物等を置くことができる手荷物置き台(カウンター)を設置した。
  3. 29093 車いす使用者用便房に設置する洗面器の鏡は、幅 35cm×高さ 45cmの大きさとし、車いす使用者の利用に配慮し傾斜させて設置した。
  4. 29094 車いす使用者用便房に設置する手すりは、便器の側壁側にL型手すりを設けるとともに、他方には可動手すりを設け、それらの水平部はいずれも便座の座面から25cmの高さとした。
答え、わかりますかね?



2. バリフリ設計標準から解答を考える

2.7  便所・洗面所(分割版PDF)のp2-76~ より全て引用です。
  1. オストメイト用設備:便房内の洗面器・手洗器の水栓金具は、レバー式、光感知式等、操作が容易なものとする。また、ストーマ装具を交換する際に腹部を洗浄することがあり、水栓は温水が出る混合水栓であることが望ましい。  →○
  2. オストメイト用設備:ストーマ装具や関連の小物等を置くことができる十分な広さの手荷物置き台(カウンター)を設ける。 →○
  3. 車椅子使用者用設備:洗面器の鏡は、洗面器上端部にできる限り近い位置を下端とし、上端は洗面器から100cm以上の高さとすることが望ましい。 傾斜式鏡は主に車いす使用者を想定したものであるが、立位では使いにくい。洗面所の鏡は傾けず、むしろ設置高さを下げることでだれにでも利用できるようになる。 →✕
  4. 車椅子使用者用設備:腰掛便座の壁側に手すりを設ける場合には、水平垂直に取り付ける。腰掛便座の両側に手すりを設ける場合には、介助等を考慮し、片側の手すりは跳ね上げ手すりとする。水平手すりは、腰掛便座の座面から20~25cm程度の高さに取り付ける等の配慮をする。→○
こんな感じです。
このバリフリ設計標準を読んでいた方、改定時の説明会に参加されていた方は、問題なく解答できたかと思いますが・・・

1、2選択肢目が初出題内容だったので、わわわ!って感じだった方もいらしたかもしれません。
3選択肢目の傾斜鏡も、「車椅子の人にはよいけど、立位では使いづらい」と知らなかったら、これも○かも???と思ってしまうし・・・
初見だった場合、なかなか悩ましい問題だったのでは・・・と思います。



3. オストメイト用設備のあるトイレ設計のキモ

その1で書いたように、オストメイトの人は「立ったまま汚物流しを利用する」なので、設計標準では、それに対応した設備が用意されるようになっていますね。


上記図面の破線の部分は、望ましい値(誘導基準)ですが・・・
  • 湯温調整付きレバーハンドル型混合水栓(汚物の処理中に汚れてしまった腹部を流せるように、温水が使用できることが望ましい)
  • 水栓のヘッドはハンドシャワー型(こちらも望ましい)
  • 汚物流しは身長に合わせて変更可能だとよい
  • 荷物置きの台(ストーマー装具、関連小物を置くため)
  • 手荷物・衣類等をかけるフック(なるべく多めに設置)
  • 汚物流しの近くに着替え用の上足台
  • 着替え後に全体が確認できる


ということは?
オストメイトの方は、やっぱり普通のトイレを利用するのは、相当な苦労があるということですよね。
これは、やはり当事者でないとわからない内容ですね。

自分が当事者にならないといまいちピンとこないからこそ、法律である程度「最低限の基準」をつくらないといけないのかなとは思いますが。
他人事とせずに普段の設計に当たりたいと思います。

そうゆう意味で、
今回、オストメイトの実態を、アニメにして頂いた方と記事 こちら には、大変感謝しています。



4. まとめ

オストメイト、という言葉の理解不足からスタートしたこの記事。
H28年のバリフリ設計標準の改定以降、バリアフリーに関する学科の出題は、全般に渡ってこのバリフリ設計標準からの出題になってます。(5. オマケ参照)

言うまでもなく、製図もです。
今回、トイレを中心に書いてみましたが、バリアフリーに対応しなければならないのは、トイレだけじゃないので!

原本であるPDFをDLして、設計の要点、必要とされる寸法など、単なる暗記ではなく、使い勝手も含めた記憶としたいところです。




5. オマケ:試験問題文のタイトルからしてバリフリ設計標準を参考にしている 

以下、建築記述センターの過去問のページから引用です。

H29(2017)年

  • [No.8] 屋内階段に関する次の記述のうち、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。
  • [No.9] 便所・洗面所に関する次の記述のうち、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。

H30(2018)年

  • [No.9] 宿泊施設における車椅子使用者用客室に関する次の記述のうちの、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。

R01(2019)年

  • [No.9] 高齢者、障害者等の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうちの、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。


どうでしょう?
1. にて引用したのは、H29年の[no.9]ですが、H29年以降必ず「バリフリ設計基準に照らして」の文言がw

こっから出すので、最低限見といてね?
という、出題者の声が・・・
聞こえますね・・・
ぜひ、DLして、内容確認していただきたいと思います。

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