いや、正直なところ、私もちゃんとトイレの実施設計をやったのは、高等学校設計時のみで・・・汗
某鉄道系の駅舎設計に携わった時は、別にトイレ専門の設計集団がいまして、私がいた部署の担当は排水先の確認と「空間だけ用意する」で終わりでしたwww
出来上がったのを見に行ったら、めっちゃ素敵なトイレになっててちょっと感動したのはナイショ。
ということで。
実態としては、衛生器具メーカーさんのCADデータDLして、コピペして終わりにしてる方も多いかも・・・!?
その2では、改めてH28年の改正内容を。
1. 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改定
さてさて。多機能トイレがなかなか空かない問題は解決されたのか!?
H28年度に「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」が改定になっています。
国交省のリンク → 建築物におけるバリアフリーについて
分割でDLですが、学科も製図も、これから一級建築士の試験を受験される方は、この「建築設計標準(平成28年度改正版)」は一式出力すべしです。
で、
通常は5年おきの改正のところを、東京オリンピック・パラリンピックに向けて前倒しの改正とのことです。
H28年てことは、3年前とかですか?確かに、今回延期になってしまった()2020東京オリ・パラに向けて、外国から多種多様な方々が訪れて、あれこれ施設整備が進むだろうって時期でしたね・・・
なお、
法律の改正やこういった設計標準・ガイドラインの改訂がある場合、↓みたいな概要のPDFが必ず国交省サイトから発表されるので、概略をつかむのにざっと見ておくとよいと思います。
高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(平成28年度版)の改正概要
- 海外からの多様なお客様を受け入れる
- 国内の少子高齢化対応
- 障害者の高齢化対応など
いずれにしても、改正前の設計基準を踏まえて、バリアフリー化をもっと進めよう!という姿勢ですね。
具体的に、以下2点。
- ホテル客室のバリアフリー化の促進
- トイレのバリアフリー化の促進
記述でも客室内の設えについて書けと言われたようですが、これ見てなかった方は撃沈したのではないでしょうか・・・
けど、今回はトイレに焦点を当てたいので、ひとまず省略。笑
2. トイレのバリアフリー化促進
「トイレバリフリ促進」に関しては、こんな感じですね。多くの国内外からの来訪者を受け入れるにあたって、高齢者、障害者等が円滑に利用できるトイレの整備が求められる。その1で引用したツイート&記事のように、
↓
トイレの機能分散を図るとともに、バリアフリー改修を促進
+
より多くの施設におけるトイレのバリアフリー化を促進
↓↓↓
- 多機能トイレへの利用者の集中を避けるため、個別機能の分散配置を促進
- 小規模施設や、面積・構造の制約が多い改修の場合には、利用者ニーズ等を考慮した上で、「多機能トイレ」と「簡易型機能トイレ」の組み合わせにより、可能な限り機能分散を図る
やはり、多機能トイレへの利用者集中という課題が言われてますね(^ ^;)
あの記事自体、2019年5月=令和元年のことですからね。
改正のあったH28年から3年経ってますけども・・・
まだまだ、改正後に対応してる新築の建物、少ないですよね・・・涙
いずれにせよ、
子連れの方々と車椅子の方、オストメイト(=人工肛門をつけて生活している人)で、それぞれ利用時間が長いにも関わらず、利用時間が重なった時が一番最悪、でしょうか・・・
これまでの規定に従っていた場合、多機能トイレが1箇所しかない施設が、実感としても多い感じしますしね・・・
ということで。
新しい設計標準は、機能分散、バリアフリー改修などをうたっています。
バリフリ法14条から、
特別特定建築物に関しては、新築だけでなく、増築・改築したり、用途変更した場合も、2,000㎡以上の場合は適合させないといけない、となりますよね。
その増築・改修・用途変更する場合も見込んで、改訂版の設計標準を用意したと。
今後、ますます需要が高まる意味でも、今からでも知っておくべき重要な改正かと思います。
3. 具体的なトイレの設計標準
基本は、バリフリ法14条と、トイレについては施行令14条。特別特定建築物の2,000㎡以上の新築・増築・改築・用途変更は、下記を1個以上設置する義務ありです。
- 車いす使用者用便房
- オストメイト用設備を有する便房
で、
具体的な設計標準・トイレ機能の分散配置の考え方は、こちらを参考にですね・・・
2.7 便所・洗面所(分割版PDF)
p2-73から、「設計標準の考え方」を要約すると。
- 高齢者、障害者等の社会参加や外出等の機会をさらに促進。
- 知的障害者や発達障害者等への異性介助、高齢者同士の異性介助等による、男女共用の便房設置に対するニーズの高まりにより、介助者等の実態に即した便所・便房の設計の必要がある。
- 現状、「車いす使用者用便房」にオストメイト用設備や大型ベッド、乳幼児用いす、乳幼児用おむつ交換台等を付加した「多機能便房」については、利用者が集中し、円滑利用が困難になっている→→→各利用者の個別のニーズに対応した「個別機能を備えた便房」を設けることを基本的な考え方とする。
- バリフリ化義務対象とならない小規模施設等の便所で、複数の便房を確保することが困難な場合や、既存建築物の改善・改修であり面積や構造による制約がある場合→→「車いす使用者用便房」にオストメイトや乳幼児連れ利用者のニーズを満たす機能を付加した「多機能便房」と「簡易型機能を備えた便房」等の組み合わせにより、可能な限り機能の分散を図る。
でも、こういった設計時の考え方・利用者の需要把握作業は、前提条件としてしっかり踏まえておかないとトンチンカンな設計になりますからね。
繰り返しますが、
今まで、多機能トイレ一箇所に、全部一括して設けられていたものがNGとなり、個別に分散して配置してくださいと。
そうゆうことだそうです。
全部引用するわけにいかないので、以下。
これらの個別の機能を、まずはそれぞれ個別に設けると。
- 車いす使用者用トイレ:回転スペース、大型ベッド等 →赤
- オストメイト用設備を有するトイレ:汚物流し等 →青
- 乳幼児連れに配慮した設備を有するトイレ:乳幼児用いす、おむつ交換台等 →黄色
私の大学の友人は、男性で、事故による下半身不随でオストメイトですけども・・・
車椅子+オストメイトっていう方もいらっしゃるので・・・
これだと、なかなかアレだなぁと思ったりもします。(
いずれにしても、
上記1~3の利用者と、異性の介助者が、そして健常者もトイレを出入りするので。
それぞれ使っても苦労ないように考えられた動線、ですね。
上記の図面他、分散配置の考え方や実際の配置事例が、それぞれ細かく、図面と一緒に挙げられているので、設計標準を実際に出力して確認されてください。
製図では、分散配置するためにも、寸法とかそのまま図化できるように対策していただければ、と思います。
4. H28年バリフリ建築設計標準の改定 トイレに関してまとめ
トイレに関して- 大きく、高齢者・オストメイト(=人工肛門をつけてる人)・乳幼児連れ等によって、必要な設備がそれぞれ異なる
- 異性介助者が、今後も増えることを考慮に入れる
- 各利用者の需要に合わせて、個別の機能を備えた便房を設ける
- 利用者が集中しないように、3 の便房を分散して配置する。
こんな感じでしょうか?
オストメイトの方は、やはり「汚水流し」が必要、というところが、他の利用者と随分違う点かと思います。
その3で、オストメイト用設備を備えたトイレ、とは具体的にどんな設計なのか?を見ていきたいと思います。
つづく
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