2018-11-27

ジェイン・ジェイコブズ-ニューヨークの都市計画改革-

ぎりぎりカケコミセーフ!

ということで、柏のキネマ旬報シアターへ。
逃すところでしたが、最終日に劇場で観られてほんとによかったです。
ありがとうございます、みろくさん!!!


http://janejacobs-movie.com ←映画の公式サイトです


1 一級建築士の試験とジェイン・ジェイコブズ

いやはや。
ドキュメンタリーということでしたが、戦後〜1960年代辺りのアメリカとニューヨークの都市計画についての教科書的な映画となってました。

えぇ。
観ると決まってから知りましたよ。
というか、えぇ!?そうなの!となったのですが。(遅すぎ

はい。
たぶん、去年一年、平成29年の計画の問題をキチンとやった方ならおわかりかと。
29043
ジェイン・ジェイコブズは、「アメリカ大都市の死と生(The Death and Life of Great American Cities)」において、都市の街路や地区に多様性を生み出す4つの条件を示した。
そうなんです。
この著書「アメリカ大都市の死と生」を基軸に、映画のシナリオが書かれてまして。

映画>>>本、なワタクシなので。
この映画観なければ完全にこの問題、へェー?ダレ?でスルーでした。
専門である都市計画の問題にも関わらずですよ。

去年解いてるはずですが、全く記憶にないし。
なお、この平成29年の問目の問題自体は、正答肢が過去問だったので、知らなくても全く問題なく解答できたと思います。



2 戦後~モータリゼーション前夜のニューヨーク

で。
勉強不足すぎでアレですが、映画は戦後すぐのニューヨークの映像がたくさん挿入されてまして。
現地には行ったことないのですが、生き生きとして活気あるニューヨークの下町の雰囲気が映像を通して、めちゃめちゃ伝わってきました。

その活気ある路地の雰囲気を映像で振り返ることが、この映画の意図でもあるわけですが・・・
路上の屋台から花や新聞を買い、建物入り口の階段に座って通りを行き交う人を眺めながらおしゃべりし。
子どもたちが、路上にチョークで落書きしたり、あちこち走り回わり。

ニューヨークといえば、整然とした区画に格子状の道路が走ってて、車がバンバン走ってるイメージだったんですけど。
映像にみるニューヨーク(戦後すぐ)は、すごく人間臭いというか、アジア的なというか、「路上」の使い方がアジアのそれと似ていて、なんだか不思議な親近感がありまして。

日本やアジアの各国も、路上で碁を打ったり、屋台でごはん食べたり、涼んだり、井戸端会議したりってのは下町の風景であったわけですが、
ニューヨークに、あんなにも人が溢れ活気のある通りがたくさんあったんだなぁと。
びっくりしました。


3 ざっくり映画の中身

映画の主題としては、
ジェイン・ジェイコブズの伝記というよりは、彼女の都市に対する考え方がどれだけ特異であり、彼女のおかげで都市計画に関する方向転換が行われたのか、ということ。
もう一つ、どのようにして、彼女はジャーナリストから活動家・戦略家として、生活を守るために行動を起こし、皆に影響を与えたか、ということ。

時に政治家よりもチカラを持って、「都市計画の妄想」とモータリゼーションを押し付けようとする都市計画家のエゴと、
住み慣れた通り沿いの、活気溢れた地域社会(コミュニティ)を守ろうとする生活者としての市民の衝突、なんかも、副主題として描かれてました。
(パンフレットの監督のインタビューより意訳してます)


住み慣れた愛着のある居心地のよい街をスラム(超貧困層が過密化して居住する地域)と決めつけて壊し、殺伐としてダレもいない新築の高層団地に引っ越しさせるが、人々は新しい団地に馴染まず孤立化して荒れ、団地は犯罪とドラックの巣窟と化していく、という現状。

そういった都市のあり方や政策のあり方に異を唱え、市民の先頭に立ってニューヨークのスラムクリアランスと道路計画を中止まで追い込んだのが、ジェイン・ジェイコブズ女史だったと。

すごい。
うわーすごいこの人。。。と。
観ながらボヤいてました。笑

ご本人、アタマの切れるジャーナリストであり、旦那さまが建築家で。
彼女の鋭い洞察力と文章力、そしてその行動力がすごかったみたいです。



4 まとめ

上からの都市計画と、生活者目線からの都市計画と。
映画では悪役として描かれるばかりの都市計画家ですが・・・(白目)
女史のご指摘は確かに、確かに、そのとおりでして、途中観ながら胸が痛むこともあり・・・(自白)

私はこのところ建設業の上流側にいることが多いので、どうも生活者目線というのを忘れがちだなと。。。
どちらも、自分の中にあって、それがまた悩ましく。

映画では、著書が何度も引用されていて、「都市の街路や地区に多様性を生み出す4つの条件」というのも明示されてました。

コルビュジエがCIAMで唱えた都市計画を、アメリカという国がどう解釈し、どうニューヨークにあてはめたか?
そして、ジェイン・ジェイコブズ女史がさらにどういうことを唱えたか?
シナリオ的には、白黒はっきりしているので、とてもおもしろい映画と思います。


試験で出題される本なんか、いっこいっこ読むヒマなんかあるかい!
というのがフツーかと思いますが。

勉強に詰まった時ですかね?
気分転換に映画観ると、WWⅡ前後のアメリカの都市計画政策、貧困層への住宅政策が、ざっとアタマに入って面白いのではと思います。
二時間くらいなので、どこかで時間つくって観てみてください。

たくさん書きたいことがあるのですが、まとまらないので、この辺りで。

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