2015-02-22

建築物移動等円滑化基準と建築物移動等円滑化誘導基準の違い

なんだか、最近ブログのネタ切れ気味。
実務で、既存建物にバリアフリールートを確保する、というミッションがあったので、それについて思い出すことを少し。

以下、合格物語から引用です。
21261
建築物の用途を変更して博物館としようとする場合,当該用途の変更に係る部分の床面積の合計が2,000㎡以上となるものにあっては,不特定かつ多数の者が利用し,又は主として高齢者,障害者等が利用する主たる階段は,原則として,回り階段でないものでなければならない.
22284
「建築物移動等円滑化誘導基準」においては,多数の者が利用する主たる階段は,回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは,回り階段とすることができる.


1. バリフリ法についての前フリ

この二つの問題、ちょうど学科受験してた時ですが、試験会場でバリアフリー新法と格闘しました。
平成18年にバリアフリー法が新法になり、平成21年ごろ?試験が5選択肢→4選択肢へ。新法のナカミについてぼちぼち出題され始める。
 ↓
平成21年の頃はまだ勉強を始めたばかり、建築基準法すら右も左も!だった。
 ↓
平成22年、「回り階段」て確か場所がない場合はよかったよね?と思ってまんまと失点。笑

バリアフリー法は、法規の後半の方で出題だったので、ゆっくり問題を読む時間もなく。
建築物移動等円滑化基準と建築物移動等円滑化誘導基準の違いもおぼろげにしかわからず。
あとで、家に帰って答え合わせして、ガーーーッカリしたのをよく覚えています凹



2.「 誘導」がつかないのと、つくのと

てことで。
建築物移動等円滑化基準と、建築物移動等円滑化誘導基準の違いなんですけど。

この「誘導」がつかないのとつくのの違いが、もひとつだったので、その後全体的に条文を読み直して、キチンと勉強しました。
改めて条文読んだら・・・

あらやだー
こんな簡単なハナシだったのねー!!!と。
とほほです。笑

以来、「誘導」の文字のアリナシに敏感になったのは、間違いない。
だって、参照する条文が全然違うので。



3. バリアフリー法の条文の構成

改めて、条文を読んでみるとですね、
そもそも、規定されている条文が違います。

バリアフリー法第14条と第17条。
バリアフリー法 第14条 
特別特定建築物2,000㎡以上の建築をしようとするときは、新築特別特定建築物を、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。

バリアフリー法 第17条
特定建築物の建築等をしようとするときは、主務省令(建築物移動円滑化誘導基準)で定めるところにより特定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
はい。
ゆっくり読めば、よくわかるんですが、何しろカッコ書きが多くて・・・(言い訳)。


法第14条は、完全義務
特別特定建築物で2,000㎡以上を建築する場合。
ある意味、最低限の基準ですね。

一方、法第17条は任意です。
特定建築物の建築、修繕又は模様替する場合。
誘導基準というだけあって、「望ましい規定」になってます。


ここで言うところの「任意」とは、そこまでやらなくてもよいし、やりたければどうぞー、です。
ただ、もし誘導基準に倣って建築等をしてもらえば、行政としてもいろいろとバックアップしますよーという制度。
→ 誘導基準をすることによる得点の例 バリフリ法第24条の解説



4. 違いをキチンと認識しよう

この、
第14条の義務と第17条の任意、違いをしっかり覚えてほしいです。
学科、製図に関わらず。

話が、全然違うことになりますからね。


製図でも、これまでもバリアフリーに配慮せよ!的な文言は課題文に明記されていましたが、なぜかナイガシロにされてました・・・
しかし、R1年製図試験での法規取り締まり(笑)により、今後は適合しているかどうかの審査が厳格化されるでしょう。


実際の設計に当たる時は、自治体条例(福祉のまちづくり条例等)がありますので、
そういった基準も含めて、キチンと違いを認識した上で、どこまではやらなければいけない基準か?、今回の建物はより望ましい基準まで適合できそうか?というのを検討したいですね。



5. オマケ「原則として」

最初に戻りまして。
問題文にある「原則として」という意味についてもついでに。

実際に該当箇所を比べてみると。
バリアフリー法 施行令第12条
六  主たる階段は、回り階段でないこと。ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、この限りでない。

バリアフリー法 主務省令第4条
九  主たる階段は、回り階段でないこと。
どっちも、「回り階段でないこと」が書いてあるわけですが。


円滑化基準の方はただし書きがくっついてます。
こうゆう場合は、「原則として、回り階段でないこと」という風に、条文が要約されることが多いですね。

これ、学科試験ルール?ですかね。
実務でも、この言い回しがラクなので、書類作るときに多用してます。笑
慣れてくれば、この言い回しが便利に感じるはず。

ということで。
Web講義のバリアフリー法を今一度読まれると理解が深まるかと思います。

2 件のコメント:

  1. こんにちは~
    バリアフリー法については、国交省の↓のリーフレットがわかりやすいですよ。
    ご参考に^^
    http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/kensetu.files/hbl/50pamphlet.pdf

    返信削除
    返信
    1. おう!
      みろくさんありがとうございます。

      実はコレ、ギモンは解決してるんですが、思い出し記事です。
      あのころ、間違えたわーみたいな。

      しかも合格物語で検索したら、あれ以来回り階段については出題されてないっていう。
      出題されてもいいように準備したのに。

      国交省のバリフリ資料は穴があくまで…略。
      もっかい見て、またネタに記事書きますかね。
      ありがとうございます!

      削除