2025-01-04

建築行政又は指定確認検査機関等での勤務経験ゼロの人のための一級建築基準適合判定資格者検定対策 その1

 この記事は建築基準適合判定資格者検定(主事試験)の初学者であった私の経験をまとめることで、少しでも検定受検者の参考になればと考えて作成したものです。
 建築基準法の審査を行うための専門的な検定に対して、初学者がどのようにアプローチしていくべきか、この記事で方向性を少しでもお示しできればと考えています。
【対象者】
 以下のような方を対象としています。
・この資格を初めて受検する方
・建築学科出身ではない方
・できるだけ早期に合格を目指す方
・資格の勉強に対してある程度習慣化できる方

初学者のための建築基準適合判定資格者検定対策
https://note.com/tarako_rice_91/n/n393b1bef2258より引用
これ!!!
読んだ時、嬉しくなりました。
よかった、私が知りたいことについて書かれている!と思って。
X(旧twitter)で、このブログの著者であるご飯のお供さんが発信されていたので、合格した勢いでお礼をしてしまいました、、、笑

このブログと同じ構成で、私がどう対策したか?をブログにしてもよいですかとお伺いしたところ、快く承諾して頂いたので、当記事を綴っている次第です。
が、
制度改正前の令和5(2023)年合格者であるごはんのお供さんと、建築行政又は指定確認検査機関等で勤務したことがない+確認審査の実務経験ゼロの私の対策は、当然完全には一緒にならなかったです。
また、一通り書いてみて、もしや結構差があるんでは?と思ったりし始めたので、その辺も書いていけたらと思います。


その1 目次

0.令和6年現在 私の略経
1.資格の概要
2.参考図書等
3.参考スケジュール


0.令和6年現在 私の略経

一介の一級建築士ゆえ、読み流してくださいませ。
【受験歴】
平成24(2012)年 一級建築士 学科4回・製図1回(地域図書館)で合格
令和06(2024)年 一級建築基準適合判定資格者検定 一発合格

【職歴】
1 都市計画コンサルで、土地区画整理事業、道路・上下水道設計
2 建設コンサルで、地下鉄駅の改修調査設計、市立高等学校の基本・実施設計、開発許可申請・確認申請業務
3 鉄道系の組織建築設計事務所で、鉄道駅舎改修調査設計、事務所ビル3棟・変電所の実施設計、開発許可申請・確認申請業務
4 ゼネコン営業部で技術営業(事業収支計算用のボリュームチェック)

はい。
結論先に書け!ですけども。笑
私は、建築行政又は指定確認検査機関等で勤務したことがない+確認審査の実務経験ゼロです。
したがって、令和7年現在、当検定に合格していても、「令和6年4月1日施行の建築基準法第77条の58の登録要件による、建築行政又は確認検査の業務その他これに類する業務で規則10条の6の2で定めるものに関して2年以上の実務経験を有しない+転職する気もない」ので、当資格者として登録はできませーん!

では、なぜこの一級建築基準適合判定資格者検定を受けようと思ったか?
いずれ別で書きます。


1.資格の概要

建築基準法 令和6年4月1日施行
(建築基準適合判定資格者検定)
第五条 建築基準適合判定資格者検定は、 建築士の設計に係る建築物が第六条第一項の建築基準関係規定に適合するかどうかを判定するために必要な知識について、国土交通大臣が行う。
2 略
3 一級建築基準適合判定資格者検定は、一級建築士の設計に係る建築物が第六条第一項の建築基準関係規定に適合するかどうかを判定するために必要な知識について行う。
4 略
5 一級建築基準適合判定資格者検定は、一級建築士試験に合格した者でなければ受けることができない。
6~ 略
だそうでっす。
建築基準適合判定資格者検定制度の見直し(第13次地方分権一括法案(令和5年3月3日閣議決定))(PDF)」

【国土交通省の報道発表】
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」等を閣議決定
~二級建築基準適合判定資格者検定を創設します~
令和5(2023)年9月26日
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000977.html

【検定概要】
・受検手数料
27,000円(市区町村、都道府県職員は無料)
⇒ 令和6年4月1日に令第8条の2が改正、3,000円安くなりましたw

・検定の内容
「建築基準法第6条第1項の建築基準関係規定」に関する知識
〇考査A
 時間  :1時間25分
 出題数 :17問(34点)
 出題形式:5肢択一式問題
〇考査B
 時間  :3時間25分
 出題数 :66点
 出題形式:記述問題(指定部分の適合判定)
〇合格基準点 : 68点(毎年公表)

・受検資格
一級建築士試験に合格した者
⇒ 令和6年4月1日に第5条第5項の受検資格の要件が改正され、建築行政又は確認検査等の実務経験がない、私のような一介の一級建築士でも受検ができるようになりました。てか、一級建築士に登録してなくても受検できるんですね。そりゃそうか。

・検定の日程(令和6年度の場合)
1 官報 - 検定要領の公告
 令和6年4月1日官報にて、一級と二級の検定要領が公告。
 国土交通省サイトも令和5年から令和6年の情報に更新。
2 受検申込書配布期間
 令和6年5月27日(月)以降、都道府県建築主務課で交付
 ⇒ 都庁が一番近かったので、取りに行きました。
3 受検申込受付期間
 令和6年6月3日(月)~6月7日(金)
 ⇒ 受付期間が短いので注意。早めに証明写真を撮影しとくべし。
4 検定日時
 令和6年8月31日(金)10時~16時
 ⇒ 会場が全国で9箇所!と少ないので、遠方にお住まいの方は前泊必須
5 合格発表日
 令和6年12月16日(月)
※検定の最新情報は国土交通省サイトをご確認下さい。


2.参考図書等

私が利用した参考図書や講習会等の一覧です。
なお、この参考図書、講習会等については、私自身が「建築行政又は指定確認検査機関等での勤務経験ゼロ」であるゆえに、その勤務経験あり+確認審査実務経験ありのごはんのお供さんとは、大きく違っています。
その3 で、もうすこしくわしく書いてます。


【参考図書】
・基本建築関係法令集(井上書院) 本編と告示編
⇒ 通称、青本。
法令集は、愛する青本一択デス。
もはや、私の生涯の戦友(言い切り)。

・建築基準適合判定資格者の手引き(日本建築行政会議)
⇒ この検定のキモ①です。
イの一番にそろえたい。必須デス。
日本建築行政情報センター(ICBA) 図書販売
令和7年1月の時点で、令和6年版以前の古い手引きは売り切れてますね、、、早めの購入オススメします、、、汗

・過去10年分の過去問データ(国土交通省サイトで公表)
一級建築基準適合判定資格者検定の過去問の公表
国土交通省サイト、大量に情報ありすぎていつも見失うんで、、、Bookmarkオススメです。苦笑

・考査B対策用A3答案用紙(BONTサイトで公開)
⇒ 考査Bの記述練習に利用する白紙の答案用紙
ごはんのお供さんの助言通り、本番に近いやり方で考査Bを解くため。
特定非営利法人 建築基準法の適用に関する建築主事ネットワーク(BONT)
建築基準適合判定資格者検定関連からDL可能

・友人からお借りした令和2年検定対策講習会資料とまとめ資料一式
⇒ 指定確認機関に勤めていて一発合格し、当資格保持者となった友人が、当検定を受検した際に受講・使用したもの(以下、友人の講習会資料)。
行政・指定確認検査機関等に勤務してる人のみ対象の講習会?主催は日本建築行政会議???(不明)だそうなので、私は参加できず、、、涙
この資料が、当検定のキモ②であったなと、改めて。
理由は、その3 で書いてます。
資料お借りできて、めちゃくちゃ助かりました。
近々、お礼がてら返却予定。


【講習会等】
・建築基準適合判定資格者検定受検講習会(ICBA主催オンデマンド講習会)
⇒ 手引きの発行時期(令和6年は5月7日発売)から申込み受付でした。
日本建築行政情報センター(ICBA) 講習会
それと、終了した講習会 から、過去開催の講習会要領が見られます。
これを見て、申込み時期の確認、おおよその予定を立てていました。

・BONT模試(BONT主催)
⇒ 先述のBONTというNPO法人主催の模試で7月中旬くらいに開催。
受けたかった!のに、申し込み時期を逃した!
あほすぎ!
受検希望される方は、要注意です。

・ERI模試(ERIアカデミー主催)
⇒ 値段が高すぎなので、ソットジー(死語)

・その他の講習
⇒近畿では近畿建築行政会議主催の講習会があります。私はその講習会にも参加しました。
ごはんのお供さんのブログより引用
これです、、、
ごはんのお供さんは、この講習会で最新の法令に則って更新された情報を入手されているのでは、、、?と思います。
私自身は、先述の通り、友人に問い合わせたところ、友人の参加した講習会は令和6年も開催されたようですが、行政・指定確認検査機関等に勤務している人対象のため、一介の一級建築士には門戸は開かれていないとのことで、参加できず、、、

以上です。
結局、模試は一つも受けず、一回も通しでやる余裕もなく当日本番!で、緊張max、、、デシタ!笑


【先輩合格者のブログ】
初学者のための建築基準適合判定資格者検定対策
https://note.com/tarako_rice_91/n/n393b1bef2258
⇒ 言わずもがな、当記事冒頭に書かせて頂いた、ごはんのお供さんのブログ。
時折ここに戻ってきて、あれこれ参考にさせて頂きました。めっちゃ感謝。
Xアカウント:https://x.com/tututako

確認審査未経験者でも、たった150日で受かる学習法【建築基準適合判定資格者検定】
https://buildingstandardsact.com/qualification-course/5213/
⇒ 我らが(?)山下慶さん、法規塾を主催されている、元行政の方によるブログ。
一級建築士学科製図と、かつて?今も?建築基準適合判定資格者検定の法規を教えてらっしゃるのですが、個人的に絶大な信頼を置いているので、参考にさせてもらいました。資料一式を貸してくれた友人も、このサイトを参考にしていて一発合格。参考にしたらいいよーと教えてくれて、あああああ、知ってる、お世話になってる、この記事読んだ読んだ、って。笑
ただし!
当ブログ、タイトルからして「確認審査未経験でも」と名打ってますが、私は4月からでは絶対に間に合わない自信があったというか、令和6年1月末の受検決意当時は合格が目的ではなかったので(万が一合格できたらラッキーくらいのノリ)、コツコツ1月末から開始してます。
そんでもって、 この慶さんのブログも、受検資料一式を貸してくれた友人も、考査Bをやる前にミッチリ考査Aをやれと言う。友人からは考査Bは7月からでも大丈夫よーと言われて、見切り発車したのですが、、、爆
Xアカウント:https://x.com/Keigaku_ALU

聖地巡礼ノート 建築基準法
https://nurarikurariblog.com/category/kijyunhou
⇒ ぬらりさんのブログ。考査Aの問題文と解答が平成27年~令和5年まで掲載されていて、通勤電車内とか、手引きが手元にない時なんかによく参考にさせてもらってました。

一級建築基準適合判定資格者検定 考査Bの設問(審査対象項目)令和5年~平成24年
https://architect-log.com/?p=283
⇒ なんか建築士の知識を解説するやつさんのブログ。早く気づいていたらよかった、、、涙
このブログ以外にも、解説動画などたくさんUPされてるんですが、動画からの情報取得が苦手なため、ほぼ活用できず、、、涙、涙
Xアカウント:https://x.com/architect_log


3.参考スケジュール

私の受検までの参考スケジュールを示します。
ごはんのお供さんとは全然違うものになりました(当然w)。

はい。
ワタクシ、建築行政又は指定確認検査機関等で勤務したことがない+確認審査の実務経験ゼロです(そろそろしつこい)。
経験値ありのと一緒のことやってたらうまくいくわけがない。笑

てなわけで。
青本発売の1月末から、ヨーイドン。
コツコツ進めるスタイルに。
一級建築士の法規の勉強時に超無駄勉したし、いーろいろ反省があるので(それがそもそもこのブログの主体だった)、今回こそは端的に無駄なく行くぞと誓い。

1月
・法改正で受検可能になったことを知り、受検決意
・25日 青本の本編発売
・ネットで情報収集開始

2月
・3日 令和2年度版の手引き、青本の告示編購入
・令和5年の検定要項と過去問を全DL+印刷
令和2年版手引き(令和元年~平成27年)を見つつ考査Aを解き、条文の読み込み開始
・平成24年一級建築士合格時の法令集を参考に、必要最低限の線引き
・24日 指定確認検査機関に勤めていて合格した友人に、検定対策をした時の資料一式(以下、友人の講習会資料)をお借りする

3月
・考査Aを解きつつ、条文読み込み+必要箇所に法令集線引き
・通勤電車で友人の講習会資料の読み込み
・26日 考査A一巡目終わり

4月
・1日 官報で検定概要公告
・イチケンZOOM講義のGW講義準備のため完全に勉強ストップ
・考査A一巡目で不安を覚えた条文の読み込み
一級建築士の定期講習受講(講義のみオンデマンド)、改正箇所を主に法令集読込み、修了考査は満点

5月
・7日 ICBAで手引き発売、令和6年度建築基準適合判定資格者検定受検講習会【セットコース テキスト付】申込み
令和6年版手引き(令和5年~令和元年)を先に送ってもらう
・考査A一巡目で不安を覚えた条文を読込み、二巡目がなかなか終わらないので焦り
・通勤電車で、友人の講習会資料にあった考査Aの問題&解説を、法令集ナシで解答+条文番号が正解できるまで訓練
・26日 ようやく考査B!!!改めて情報収集+ご飯のお供さんが公開してくださった令和3年から着手
・27日 都庁へ申込書をとりに行き、証明写真を撮ったり、申込みの準備

6月
・4日 検定の申込み手続き完了
・考査Bの全貌が見えてきて絶望、、、笑
・考査Bとにかく手引きを見ながら、解答を丸写しを始める

7月
・12日 国立国会図書館へ、平成25年、平成26年の考査B解答の複写入手(有料)
・ひたすら考査Bを年度ごとに10年分書き殴る、設問ごとに時間計測、間違えたところは条文読込み
・解答が長すぎて終わらないので、どうやったら必要最低限で解答できるか?の工夫を始める
・通勤電車で、友人の講習会資料にあった考査Aの問題&解説を、法令集ナシで解答+条文番号が正解できるまで訓練

8月
・焦りピークピーク!考査Bに手こずる
・通勤電車で、考査Aやったり、考査Bの定型の文言をスマホのメモアプリに書き付けたり
・仕事、家事、食事、睡眠の時間以外、ひたすら考査Bを解く
・7日 お盆前に考査B一巡目やっと終了、残り日数のなさにボウゼン、、、
・改めて、考査Bの情報収集でブログ徘徊
・「手引き」の第2章第3節「考査Bの出題目的とその傾向」を参考にしつつ、設問(審査対象項目)の一覧表を手書きして、出来不出来の俯瞰+進捗管理
・7月後半くらいから薄々感じてはいたが、道路斜線は書くこと多すぎてむりー!と悟り、必ず出題されるにも関わらず設問ごとマルっと捨てる決意。残りの勉強時間を、他のできていない知識を固めることに使おうと思う
・11日~18日 お盆休みが勝負と思い、ひたすら考査Bを解き、二巡目終了
・20日 ようやくICBAオンデマンド講習会資料(PDF)を一式DLし、最終チェック用に準備
令和6年二級建築基準適合判定検定を試しに解いてみる、41点/50点、、、やば笑
・24日 ICBAオンデマンド講習会資料「演習問題」を模試と思って解く
・考査A、満点!考査Bは細部要、要調整、、、焦りmax、、、
・検定当日(金曜日)の休みをもらうために、受検を上司にカミングアウト、仕事調整してもらう。とてもありがたい。
・26日 台風10号で天候が荒れる予報、慌てて前泊用ホテル確保
・さいたま会場が自宅から遠い+さいたま新都心駅周辺のホテルは満室(イベントかなにかあった?)で、赤羽駅前にホテルをおさえる

8月29日 検定前夜
・都内に出勤、その足でホテルへ
・ここまで来たらやれるだけやって帰ればいいやと逆にハラククって、ホテルのベッドで法令集を一周読み直し

8月30日 検定当日
・一部の会場が暴風雨で延期になったことをXで知るが、さいたま会場は予定通り検定が行われるとのこと
・雨の中、荷物一式を大きなビニール袋に包んで、いざ出陣
・迷いつつ、無事会場着
・法令集チェックでは、カバーを外そうとしたらそのまま受け取ってもらえて、特に指摘なしで通過
・部屋を間違えて入ってしまったところで箒さんにお会いし、お互いの健闘を祈りつつ自席へ

・実は通しで受検するのは検定当日が初めて。無謀すぎる。笑
・考査Aは不明点ありつつも見直しできて、なんとか終わるが、切羽詰まりすぎていてもはや記憶なし
・問題は考査B
・計画1 順調
・計画3 はぁ?鉄骨造!?10年間一回も出題なかったのに???
・気を取り直して問題をよく見ると、前半の3問は解けそう?といつもと変わらず解答、後半2問は白紙!むりッ!
・計画2 道路斜線は、ハナから解く気なし。白紙。それ以外はなんとかすべて解答。

・マルバツだけ問題用紙の表紙に書き残し
・時計見る余裕なく、見直しほぼできず、時間終了。
・オワターむりー!

・検定後、BONTで答え合わせ
・考査Aは満点!え、そうなの?すごい、、、よかった、、、!
・考査Bは、問題用紙の表紙に書き残したマルバツのみなので、とても答え合わせする気にならず。思い出そうにも思い出せず。12月の発表まで放置。
・資料を貸してくれた友人他に報告、考査Aが満点ならいけるのでは?と言われるが、とてもとてもそんな気にはならず。
・燃え尽き症候群のため、9月前半はほぼ記憶なし、、、

12月
・16日 え、名前ある、、、まさかの合格、、、!!!



長くなったので、いったんここで切ります。
その2 にて
4.考査Aの対策
5.考査Bの対策

その3にて
6.建築基準適合判定資格者の手引き(日本建築行政会議)
7.過去問10年分のデータ
8.友人からお借りした資料一式
9.ICBA 令和6年度建築基準適合判定資格者検定受検講習会(オンデマンド講習会)
10.建築行政又は指定確認検査機関等での勤務経験ゼロの者による10年分の法改正対応法
11.番外編 国立国会図書館の活用