せっかくなので、現地まででかけてきました。
完全に前知識ゼロでお伺いしましたけど、お天気よくてとてもよかったです!
スマホの広角で撮ってるので、かなり建物が歪んでますな・・・笑
日野市中央図書館は「国分寺崖線」のキワに建っていて、敷地内?なのかわかりませんが、湧き水が!
いやはや、しかし、収穫の多い建物見学でした!
まだ全部調べきれていないので、先日行ったときにわかったことを少し。
1. 日野市中央図書館の建築的フォーカスポイント
R02年の学科【計画】15問目の出題でしたが、日野市中央図書館のキーワードとは。
- 成人開架と児童開架をL字型平面に振り分ける
- 自習室を設けない
- 貸出を重視
どうでしょうか?
利用したことある、ご自宅の近所の地域図書館、どんなになってます?
1は、割とありがちかなと思います。
でも、「2. 自習室を設けない」というのが妙に引っかかりました?
ほぅ、自習室ないのか・・・
意外です。
「3」は?
貸出中心・・・
なぜ?
戦後、日本の公共図書館大改革の金字塔となったこの建物。
行ってみて、この建物・・・というか、
建設を主導した図書館司書であり、日野市中央図書館初代館長の「前川恒雄氏の思想」が、その建物全体、建物外観から、面積、部屋の配置、仕組みに至るまで、具現化されてる、ということがよくわかりました。
設計者の鬼頭梓氏は、その思想を空間として具現化するために呼ばれた設計者(前川國男事務所時代に国会図書館や神奈川県立図書館など担当)だったようです。
ともあれ、
日野市中央図書館が、どういった時代背景にあって、どういった経緯で建ったのか?を知るための建物見学、楽しかったです。
2. わからない時は司書さんに聞こう!
はい。
図書館で特徴的な機能の一つに、レファレンスサービスというものがあります。
レファレンスサービスとは?皆様がお探しの資料や調べたいことについて、資料や情報を探すお手伝いをするサービスです。日野市立図書館より
インターネットがなかった時代、込み入った調べ物をする時には、図書館を使うのが一般的でした。
しかし、そうと知ってても・・・
私自身は、実はレファレンスサービスを使っての調べ物は、論文を書いた時とか・・・数かぞえるほどしかなく。
図書館には本を借りに行くだけの利用だったのがお恥ずかしい・・・
ともあれ。
図書館の本の分類の仕方・書棚の並び方には、いろいろ細かいルールがあるんですが。
「図書館学」ということで、図書館自体が「図書館について」の資料を集めている書棚ってのがあるのは、知ってました。
ということで、その書棚の辺りをうろちょろしたら・・・
ありました、ありました。
パラパラとページをざっとみた感じ、ちょっとしか書いてなさそうだったので・・・
貸し出されて戻ってきた本を書棚に並べるので忙しそうな司書さんに、質問してみました。
私「この、日野市中央図書館の建物って、建築業界でもとても有名なんですけど・・・どうしてこのような建物ができたかとか、どういった理由で建てられたかといった、理念?のようなものがわかる書籍ってありますか?貸出中心だってことだそうなんですが・・・」
司書さん「うーん、この図書館は、もともとは移動図書館から始まってるんです。この辺りの書棚になかったら・・・」
司書の方は、一冊手にとって見せてくださって、そのあとカウンターへ。
カウンターで後を引き継いだ別な司書の方が、「たぶん閉架図書の方にあると思いますのでー」と階段の方へ消えていって、しばらくして数冊抱えて戻ってこられました。
アマゾンで出てるのは、再販のようですね。
他に、紹介していただいたのは以下の書籍。
ほぼ、初代館長の前川恒雄氏の著書です。
残念ながら、日野市近隣に住んでいないために、この図書館で本が借りられる人に該当しなかったので・・・
他にも、前川初代館長は新建築等にたくさん文章を書かれているようなので、今度近所の図書館で探して読んでみたいと思います。
それにしても。
上記の他にも貸出中のものがあるとのことでしたが、質問したらものの5分~10分くらいで山のように資料を持ってこられたことにびっくりです。
どうやら、私のした質問は細かく調べるまでもなかったようです。笑
さすがに司書さん専門の「図書館」の内容だけあるからでしょうか。
3. 日野市中央図書館ができるまで
建物には、個々の根底に理念?というか、こうであったらいいなという思想が横たわっている、というのは、持論なんですけど(いや、たぶんみんなそう思っている
この日野市中央図書館の場合は、どちらかというと、建築家の思いよりも、お施主様(=前川初代館長)の思いがとても強い、というのは、行ってみてよくわかりました。
持ってきていただいた上記の著書をざっと眺めた、まとめですが・・・
日野市中央図書館が建設される前の、従来の公共図書館について、前川初代館長からみた問題点とは・・・
- 保存することと、その場で閲覧するためということに重きがおかれていた
- 蔵書数、閲覧席数、来訪者数で評価されていた
- 所蔵される本は古く新刊がなかなか入らないため、飽きられる
- 貸出しの手続きが煩雑
- 貸出しは、個人というよりかは団体向け
- 図書館へ来て館内で閲覧するので、図書館の開館時間に間に合わない人は本が読めない
- 閲覧席にいる受験生は、本を読むというよりかは、勉強しにきているだけ
こんな感じですか。
特に、「貸出しの手続きが煩雑であった」という内容を読んで、びっくりです。
貸出しカード的なものを作るのに、保証人が必要だったり、職場の証明書が必要だったりするところがあったそう。
それから、県立図書館でも、固定資産税を納めている人でないと本が借りられなかったところがあったとか(!)。
うはぁ・・・
そんな状態だったんですね・・・
インターネットが普及して、本の予約や貸出し手続きもかなり楽な今の図書館のシステムとは想像もつかない・・・
そんな中で、今も日野市で脈々とつづく移動図書館というサービスが、本を身近に読んでほしいという願いのもと、突破口として設けられたというのも、なんだかうなずける感じでした。
こうゆう時代背景と公共図書館のあり方みたいな、理念をわからずして建物だけ見ても、へぇぇーやっぱり閲覧席少ないね~で終わりだったかもしれないですねwww
先に紹介した、「移動図書館ひまわり号 前川 恒雄著」p182より...
- 新しい図書館サービスを形で表す
- 親しみやすく、入りやすい
- 利用しやすく、働きやすい
- 図書館の発展、利用の変化に対応できる
- 歳月を経るほど美しくなる
移動図書館ひまわり号は、たくさんの図書館の本を積んだ車が、定期的に日野市内を回るそうなんですが・・・
時間になるとわらわらと地域のみなさんが貸し借りに集まってくるそうで、今読んでもとても魅力的なサービスです。
それも見学したかったんですが、毎週金曜日が巡回日のようで・・・
この前川初代館長のご著書によると、
司書さんと地域の方の交流が、開始以来とても評価されてるとのことで、うらやましい限りです。
ちょっと長くなったので、次の記事へ・・・
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