2018-06-27

国宝茶室如庵へ その3

半年以上放置してた記事ですが・・・
その1その2からつづきます。

平成27年に一級建築士の「計画」で出題された、国宝茶室 如庵(じょあん)。

その3では、平成27年の試験では触れられなかったけど、この如庵という茶室がいかに特異か、という特徴に触れておきたいと思います。
(個人的感想です、もちろん)


1 有楽窓

有楽窓(うらくまど)と呼ばれる窓がありまして。
このお茶室を作った本人である織田有楽斎の名前がついてるくらいなので、新しい手法だった、ということですが。

如庵にある大小5つの窓のうち、2つが有楽窓になっています。
どんなや?って感じですけど。

以下、「茶匠と建築」中村昌生著より
躙口(にじりぐち)と反対側の点前側の壁面にある二つの窓は、特殊な効果を意図して竹を詰打ち(つめうち)にした類例のない形式で「有楽窓」と称されている。


BRUTUS(ブルータス) 2018年2/1号No.862[建築を楽しむ教科書 伝統建築編]
上記写真は、↑から引用です。

写真を拡大して頂くと、有楽窓も見られると思うのですが(左頁の段違いの窓二つ)。
屋内の写真撮影禁止なので。。。

このブルータスの写真撮影の時、あまりお天気がよくなかった?
というか、2月号なので、年末ぐらいの薄暗い日の撮影だったのかな?と思います。
それにしても、茶室内の明るいこと。笑

私が行った時は、皐月晴れで新緑が目に非常に鮮やかな時で、案内の方も「今日みたいにお天気のよい時は、有楽窓の見え方がすばらしいんですよ」と、目を細めてらっしゃいました。

この有楽窓、
具体的には、千鳥に貼った片引きの障子の屋外側に、5~10ミリくらいの細い竹を縦格子状に並べて釘打ちしています。
それを新緑の鮮やかな時期に屋内から見ると、障子の白に、細竹の薄い橙、新緑の緑の色が写りこんで、それはそれはきれいなんですよね。

これだけでも、見に行った甲斐ありました。
五月のいい季節の鑑賞は、ほんとによいと思います。
行くならぜひ五月に。



2 茶室を構成する、斜め

「茶匠と建築」中村昌生著の図面に書き込みしています。

この平面図に書き込みをしたものは、ほぼこの茶室を特徴づけているものと言えますが、
全て解説をしてもアレかなぁ。

「床」と書かれた台目床(だいめどこ)の右隣りにある、半畳の空間。
壁ごと斜めです。
ひとまず、「斜め」がこの茶室の空間にとってとても重要です。


これ、大学院の授業でも、すごく丁寧にやったんですよ。
しかしだ。
図面だけだと、よくわからんのですよ。笑

壁が斜め?
だからなに?ってくらい。笑

行ってわかりました。
おおー!(単純


点前座(てまえざ)に座ってお茶を出したりするときに、この壁が斜めなのがとてもお給仕しやすいそうで。
お茶を嗜まないワタクシ、マッタク説得力ありませんが。

お茶の動線を考えた上での、ナナメという「型破り」。
感嘆。


なお、その2にも少し書きましたが、
この斜めの壁、
躙口から入ったときに、奥行きがあってとても広く感じるそうです。
先に書いた有楽窓が、まず最初に目に入るだろう位置にあり、とても効果的に明るく広く感じられるようになっているのでは、と思います。

案内して頂いた方によりますと、
点前座(てまえざ:お茶をもてなす側)の手元が暗くならない効果もある、と言うようなお話でした。



3 床柱と中柱の、二つの象徴

これも、如庵の特徴の一つです。
一般的に、茶室や、数寄屋造りの特徴としては、床柱に相当な意図が込められるのですが。
この茶室は、荒削りの床柱とは別に、点前座の先に中柱があるという、不思議な構成です。

この、点前座と、炉、中柱、そして半畳は、実際座ってみても不思議な空間でした。
むしろ、点前座の先の半畳はなんのために・・・
(お茶会をしたことない人に言われてもアレかと思いますが)

客人が詰めて座れるのかと思い、案内してくださった方に聞いてみましたが、実際の茶会のときはこの半畳は空けておくそうです。

これまた、図面みても、ナンノコッチャ。
ブログに書く意味を見いだせないので(笑)、このへんで止めておきます。


歴史の教科書に載っている名作って、ほんとに「図面だけ見てもよくわからん」ですよね。
立体じゃないし。

機会があったら、訪ねてみることをオススメします。

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